「薬の飲み忘れが増えた」「同じ薬を二度飲んでいたかもしれない」——親の薬のことが心配で、住まいを考え始めたご家族へ。大阪で施設探しをお手伝いしている看護師の私たちが、施設に薬を任せるときに見学で確かめておきたい5つのことと、相談の前に用意しておくと話が早いものをまとめます。
施設に薬を任せるとは、入居した方の飲み薬を、施設の看護職員や介護職員が預かって、決まった時間に渡したり飲むのを手伝ったりすることです。どこまで手伝えるかは、薬の形(一包化されているか)、体の状態、施設にいる職員の体制で変わります。厚生労働省の通知では、一包化された飲み薬の内服の介助は、容態が安定しているなど3つの条件を医師や看護職員が確かめている場合、原則として医行為に当たらないとされています。
薬のことが心配なまま、住まいを決めないで。
今飲んでいる薬の数や、飲み忘れのことをお電話・LINEでお聞かせください。看護師が施設探しをお手伝いします。相談料はかかりません。紹介手数料は、ご入居先の施設からいただく形です。すべての住まいを扱っているわけではありません。
飲み忘れが増えたときに起きていること
薬の飲み忘れは、物忘れだけで起きるわけではありません。薬の種類が増えた、飲む時間がばらばら、袋の文字が読みにくいなど、薬の側の事情が重なっていることがよくあります。
飲み忘れが続くと、飲まなかった薬が家にたまります。これを残薬(ざんやく)と呼びます。残薬が多いことに主治医が気づかないまま同じ量が出続けると、「効いていない」と受け取られて薬が増えることもあります。反対に、飲んだことを忘れて二度飲んでしまうと、体に強く効きすぎることがあります。どちらも、本人の努力だけでは防ぎにくいことです。
一人暮らしで薬の管理が難しくなってきたときの住まいの考え方は、大阪で一人暮らしがつらくなった親の住まい相談にもまとめています。

施設で薬にかかわる人と、できること
施設で薬にかかわるのは、施設の職員だけではありません。住まいの種類によって、外から来る看護師や薬剤師もかかわります。
| かかわる人 | 主にすること |
|---|---|
| 主治医 | 薬を出す・量を変える・やめる |
| 薬剤師(薬局) | 薬を一包化する・飲み方を説明する。施設や自宅を訪ねることもある |
| 看護職員・訪問看護 | 体の様子を見て、薬が合っているかを確かめ、主治医に伝える |
| 介護職員 | 条件がそろえば、一包化された飲み薬を渡し、飲むのを手伝う |
介護職員が飲むのを手伝えるのは、通知の3つの条件(入院して治療する必要がなく容態が安定している・医師や看護職員が続けて様子を見る必要がない・誤嚥の心配など飲み方そのものに専門的な配慮が要らない)を医師や看護職員が確かめ、そのことを本人や家族に伝えている場合です。そのうえで、本人や家族の依頼があり、医師の処方と薬剤師の説明、看護職員の助言に沿って手伝います。飲み込みに心配がある方は、嚥下(飲み込み)が心配な方の施設もあわせてご覧ください。
見学で確かめる5つのこと
「薬は施設でお預かりします」と言われても、中身は施設ごとに違います。見学のときに、次の5つを聞いてみてください。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| ①だれが薬を管理するか | 「薬は看護師さんが管理しますか。夜はだれが渡しますか」 |
| ②一包化が要るか | 「今の薬を一包化してから入居した方がよいですか」 |
| ③飲んだかどうかの記録 | 「飲んだかどうかは、どこに記録して、家族は見られますか」 |
| ④余った薬を伝える流れ | 「飲めなかった薬があったとき、主治医や薬局に伝えてもらえますか」 |
| ⑤具合が悪いときの薬 | 「痛み止めなど、具合が悪いときだけ飲む薬はどう扱いますか」 |
見学の全体の確かめ方は施設見学のポイントに、医療の処置がある方の受け入れの確かめ方は医療処置がある方の受け入れにまとめています。

余った薬(残薬)を主治医へ伝える流れ
施設に入ってからも、飲めなかった薬が出ることはあります。余った薬があることが主治医まで伝わる流れがあれば、量や飲み方を早めに見直してもらえます。
- 飲めなかった薬と、その理由(眠っていた・吐き出した・拒んだなど)を記録する
- 余った薬の数を、看護職員や訪問看護の看護師が確かめる
- 主治医や薬局に伝え、量や飲み方を見直してもらう
住宅型有料老人ホームなどでは、外の訪問看護の看護師が入って、残薬を確かめて主治医に伝えることがあります。施設に看護師がいる時間と、訪問看護が入る時間は別のことが多いので、見学ではその両方を聞いておくと安心です。訪問看護と施設の組み合わせは施設と訪問看護で説明しています。
相談の前に用意しておくもの
ご相談のときに次のものがあると、薬の管理ができる住まいを絞り込みやすくなります。全部そろっていなくても構いません。
- お薬手帳(今飲んでいる薬の名前と量が分かる)
- 家にある薬の袋の写真(余っている薬の数が分かる)
- 飲み方の困りごと(飲み忘れ・二度飲み・飲み込みにくい・嫌がる)
- 退院が決まっている場合は、病院からの書類(診療情報提供書など)
私たちは看護師として、薬の数や飲み方の困りごとを伺ったうえで、薬の管理の体制が合いそうな住まいを一緒に考えます。受け入れられるかどうかは、最後は施設が書類と面談で決めます。
よくある質問
老人ホームの介護職員は、薬を飲ませてくれますか?
一包化された飲み薬で、容態が安定しているなどの条件を医師や看護職員が確かめ、本人や家族の依頼がある場合は、介護職員が飲むのを手伝えるとされています。条件に当たらない時は看護職員などが対応します。
入居の前に、薬を一包化しておいた方がいいですか?
施設によって決まりが違います。見学のときに聞き、必要なら主治医や薬局に相談して一包化してもらいます。お薬手帳を持って相談すると話が早く進みます。
飲み忘れが多いと、施設に断られますか?
飲み忘れだけで断られるとは限りません。だれが薬を管理するかの体制は施設ごとに違うので、薬の数と困りごとを伝えたうえで、合う住まいを一緒に探します。
余った薬は、施設で捨ててもらえますか?
自己判断で捨てずに、余っている数を主治医や薬局に伝えるのが先です。量や飲み方を見直すきっかけになります。扱い方は施設と薬局に確かめてください。
薬のことも含めて、施設探しを相談できますか?
ご相談ください。看護師が薬の数や飲み方の困りごとを伺い、私たちが紹介できる住まいの中から体制を確かめます。すべての住まいを扱っているわけではありません。(2026-11-04 時点の情報。出典:厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」平成17年7月26日 医政発第0726005号)
参考(公的情報):厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」(一包化された内用薬の内服の介助と3つの条件)
- 飲み忘れは物忘れだけでなく、薬の数や飲む時間の事情でも起きる。余った薬が主治医に伝わらないと量の見直しが遅れる
- 一包化された飲み薬は、条件を医師や看護職員が確かめ、本人や家族の依頼があれば介護職員も飲むのを手伝える。見学ではだれが管理し、どう記録するかを聞く
- 相談の前にお薬手帳と薬の袋の写真を用意すると、薬の管理が合う住まいを絞り込みやすい
大阪老人ホーム相談室


